あらすじ
妻の腹が膨らんだ。想像妊娠と診断されたが、その腹は今ではまるで風船のようだった。
ふとしたことでたどり着いた夏祭りで、彼女の腹を元に戻せるかもしれない事を俺は知る。人の願いを叶えてくれるという金魚によって。
「別人になりたいと思ったことは? 自身の内外に存在するなにかを変えたいと考えたことは? そこまで大それたものじゃなくても、痩せたい、まぶたを二重にしたい、傷を消したい、未練を断ち切りたい、過去の嫌な記憶を忘れたい、そう望んだことは?」
誰でも一度は考えたことがあるだろう欲求を、金魚店のあるじは並べてみせた。
――当店の金魚は肉体的、あるいは精神的に変貌したい。そんな類の願いを叶えることが出来るんですよ――
